あなたが裁判員として裁判に参加することになったとします。
あなたが裁判員になったことは、皆に秘密にしなければならないのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
「今回裁判員に選ばれたんだ」と、家族や友人に話しても構いませんし、勤務先にはむしろ連絡する必要があります(裁判に参加するため、仕事を数日間休むことになる可能性もあるので)。
では裁判がおこなわれた日、家に帰宅してから、「今日は○○さんがこんな意見を言ったんだ。」とか「僕は無罪だと思うけど、△△さんは有罪にすべきだと主張しているんだ。」といったことを、家族に話すのはどうでしょうか?
これはNGです。
評議の中で誰がどんな意見を言ったとか、どのような内容について話し合ったかというようなことを外で公表することは、守秘義務違反にあたり、秘密漏示罪として処罰されます。
具体的にどのような秘密が守秘義務の対象となるかについては、裁判員法108条に定められています。
「評議の秘密」と「その他の職務上知り得た秘密」です。
評議の場における発言内容や、記録の中にあった被害者のプライバシーに関わる情報などは、それらが公表されると公正な裁判が妨げられ、皆が自由に意見を言えなくなってしまうので、あらかじめ法律によって守られているのです。