法の解釈と具体例への当てはめ

裁判では、被告人のおこなった行為が法律のどの条文に当てはまるのかといったことを考え、その法律に則して被告人に刑を科することになります。

とはいえ、法律の条文はとてもシンプルです。

例えば、刑法177条には「暴行または脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。」とあります。

この短い条文に、被告人のおこなった行為が当てはまるのかどうかを考えていくためには、一つ一つの言葉を細かく分析していく必要があります。

つまり、「暴行」とはどういった行いなのか、「脅迫」とは具体的にどのような行動を指すのか、「姦淫」とはどれだけの行為を意味するのか、などなど。

このように、一つの条文に対し、その意味するところをかみ砕いて細部まで検討すること、またそれによって導き出された結論を、「法の解釈」といいます。

前述の「暴行」「脅迫」という言葉には、「相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度のもの」という最高裁判所の判例があります。

ですから、具体的事例において、その行為が「暴行」「脅迫」にあてはまるかどうかを考えるときには、どうしても抵抗することが難しかったという状況が不可欠になります。

しかし、あまりの恐怖で被害者が全く抵抗できなかったような場合に、「抵抗できたはずなのにしなかった」からといって「これは強姦にはあたらない」と言ってしまうのは、いかがなものでしょうか。

このように従来の法の解釈に疑問が出てきたときは、裁判員はそれについても意見を述べることができます。