裁判員裁判では、被害者の遺族も法廷に出席し、意見を述べることができるようになりました。
(出席が認められるのは、「殺人などの故意の犯罪行為によって人を死傷させた罪」「強制わいせつおよび強姦の罪」などの被害者や、その遺族です。)
被害者または被害者の遺族は、法廷で、証人や被告人に対して直接質問をすることができますし、また検察官が論告・求刑をおこなった後に、意見を陳述することもできます。
このような被害者の意見(論告・求刑)は、裁判上の証拠にはならないとされていますが、裁判に参加している裁判員に与える影響は、計り知れないものがあります。
裁判への参加を認められた被害者やその遺族のことを「被害者参加人」と呼びますが、彼らは当然のことながら、検察官のようには法に詳しくありません。
検察官が法律に則って冷静に出した求刑(「懲役○年、執行猶予△年」など)に対して、被害者参加人は「死刑にしてください!」と訴えることも多々あります。
被害に遭った者からすれば「こんなひどいことをやったんだから、できる限りの重い罰を与えてほしい」と考えるのは無理もないことですが、その主張をそのまま裁判の場にもってきて、裁判員に聞かせることがよいかどうかは、判断の難しいところです。